漫画「毒親を持った子供たち~お母さん寒いよここにいて~」は虐待児童の心理や虐待している親の心理を描く毒親サスペンスオムニバス作品。1冊に読み切り3エピソードが収録されています。
ペンを握る作家陣は榎本由美先生、安武わたる先生、なかのゆみ先生。それぞれが異なる毒親をテーマに毒親と子供の壮絶な関係を描いていきます。
特に榎本由美先生が描く表題作にもなっている「お母さん寒いよここにいて」は娘と母、そして児童相談職員の3名の立場から衝撃の虐待を描いた実話ベースの内容。
毒親と子の心理、そして現場ではどのような事が起こっているのか…まさに現代社会の闇を抉る作品。また何故、親が毒になったのか…毒親となる親の生い立ちも少しですが語られる部分もあり。
この漫画は以下から試し読みすることが可能です。
毒親を持った子供たち〜お母さん寒いよここにいて〜ってどんな漫画?
表題作を含む3人の作家さんによる3つのエピソードが収録されたオムニバス漫画。収録作品は全部読み切りとなっており、この巻だけで完結する作品となっています。
収録作品の内容は以下の通り。
- お母さん寒いよここにいて
- マザーコンプレックス~ただ、愛してほしかった~
- 32本の動く針
全エピソード共に毒親と子供の心理を描いており、バッドエンドもあれば親が改心してハッピーエンドで終わるエピソードもあり。
以下で簡単に各エピソードの内容をご紹介します。
毒親を持った子供たち〜お母さん寒いよここにいて〜 微ネタバレ
お母さん寒いよここにいて
榎本由美先生が描く実話ベースの毒親物語。メインキャストは娘、ルイと母親、祥子。
子と親の視点から当時の状況や心理が描かれていきます。ルイは享年16歳。発見された時の状態は16歳女性の平均身長や体重を下回る結果に…。そして彼女が命尽きるまで何があったのか…ルイの心理と共に生活が描かれていきます。
母親である祥子視点では何故、親は毒になったのか…きっかけとなるエピソード。そして子に対する想いなどが描かれていきます。
今回収録されている作品の中でとにかくシリアスで救いのない内容。読んだ人の多くは母親、祥子に怒りを覚えるかもしれません。
マザーコンプレックス~ただ、愛してほしかった~
安武わたる先生が描く我が子を小遣い稼ぎに使う毒親をテーマにした内容。ちなみにここからはフィクションとなります。
簡潔に言ってしまえば親となる女は自分の親から愛されて育てられなかった…それが引きずられて親となっても子供を愛せずにいました。所謂、親の呪縛ってやつですかね。
ただ、そんな彼女を理解する男性が現れて少しずつ変化する毒親。それでも自分の親への反抗心もあり娘をエスカレートした小遣い稼ぎの材料にすることに…。
しかし、最後は親心が芽生えて泣き叫ぶ娘を守り抜き、理解ある男性が救助に来てくれる結果に…。最終的に毒親は改心して娘を愛する努力をしていくことに。
32本の動く針
こちらもフィクションながら衝撃の内容。
幼少期、義母に針を刺されるヒロインのはるか。成長するにつれて身体に違和感を感じるようになるヒロイン。そして中学生、高校生になると身体に激痛を感じるように。そして気を失うほどの痛みに襲われることに。
レントゲン検査をすると身体の至る部分に針が埋め込まれている事実が発覚。
本当の母親が登場して娘に針を刺した女の証拠を探したり、ヒロインは大手術へ。
最終的には手術も成功。義母が過去、ヒロインの身体に針を刺していた証拠も見つかって警察のお世話になることに。最後はヒロインが本当の母親と一緒に暮らすことを決意して幸せな日々を送る形で幕を閉じていきます。
漫画「毒親を持った子供たち〜お母さん寒いよここにいて〜」感想・書評
- 毒親と子の心理がリアル
- 社会の闇を抉る本格派家庭サスペンス
- 実話ベースの衝撃内容が収録
中々、体験や知ることのできない毒親と子の心理が本当にリアルに描写されていきます。漫画の醍醐味である普通は体験できない出来事や人の心情を知ることができる作品。
同時に実話ベースの内容もあり、子供との接し方、愛情のかけ方など考えさせられる内容に仕上がっています。
- 内容的にシリアス
明るくハッピーな物語を期待している人は要注意。ハッピーエンドな結末も用意されていますが、終始毒親と子をテーマにしているので内容は重たくなっています。
内容が内容だけに万人が楽しめる漫画ではありません。毒親と子の実態、心理、親が毒になる理由など興味がある人は楽しめる作品。
もしくは重たい家庭サスペンスが好きな人にお勧めできる漫画となっています。
この漫画は以下から試し読みすることが可能です。